ずっと探していた人は
だいすきな人
「好き、です」
目の前の男の子が色白の頬を―野球部に所属しているとは信じられないほど色白の頬を―真っ赤に染めて発した言葉が、私の耳に届く。
「えっと、」
何と言えばいいのだろう。
「とても嬉しいけれど、」
思いがけない展開に驚きと戸惑いを感じ、何と言えばいいのかわからず、正直に伝えた。
「私、彼氏いるんだ」
4月。
高校2年生になった私、滝川加恋は、目の前にいる同じクラスの男の子、大橋直人くんに呼び出され、昼休みの今、ほとんど人通りのない廊下にいた。
「うん、知ってた」
“けど、きちんと気持ち、伝えたかったから”
私の目をじっと見て伝えてくれた後、大橋くんは少し寂しそうに笑った。
「そっか」
ごめんね、も、ありがとう、も違うような気がして、簡単な言葉を返すと、大橋くんは呼び出しに応えてくれたお礼だけを告げて、私に背を向けた。
そう、私には、彼氏がいる。
名前は、坂口 涼。
同じ中学校出身で、同じ高校に通う1歳上の彼は、正直とてもかっこいい。
切れ長の目に、筋の通った高い鼻、少し薄い唇。それに加え、身長184cmというスタイルの良さ。
彼は街中でスカウトされたことをきっかけに、自分の美貌を活かして半年前からモデルとして活動を始めた。
「加恋」
そしてテレビでの活躍が目立ち始めた最近は、この甘い声が、世間の女の子を虜にしていた。
目の前の男の子が色白の頬を―野球部に所属しているとは信じられないほど色白の頬を―真っ赤に染めて発した言葉が、私の耳に届く。
「えっと、」
何と言えばいいのだろう。
「とても嬉しいけれど、」
思いがけない展開に驚きと戸惑いを感じ、何と言えばいいのかわからず、正直に伝えた。
「私、彼氏いるんだ」
4月。
高校2年生になった私、滝川加恋は、目の前にいる同じクラスの男の子、大橋直人くんに呼び出され、昼休みの今、ほとんど人通りのない廊下にいた。
「うん、知ってた」
“けど、きちんと気持ち、伝えたかったから”
私の目をじっと見て伝えてくれた後、大橋くんは少し寂しそうに笑った。
「そっか」
ごめんね、も、ありがとう、も違うような気がして、簡単な言葉を返すと、大橋くんは呼び出しに応えてくれたお礼だけを告げて、私に背を向けた。
そう、私には、彼氏がいる。
名前は、坂口 涼。
同じ中学校出身で、同じ高校に通う1歳上の彼は、正直とてもかっこいい。
切れ長の目に、筋の通った高い鼻、少し薄い唇。それに加え、身長184cmというスタイルの良さ。
彼は街中でスカウトされたことをきっかけに、自分の美貌を活かして半年前からモデルとして活動を始めた。
「加恋」
そしてテレビでの活躍が目立ち始めた最近は、この甘い声が、世間の女の子を虜にしていた。
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