ずっと探していた人は
それからというもの、花木さんは何かと理由をつけては教室まで来て、大橋くんを呼び出した。
今では1日に2、3回は2人が教室の前の廊下で談笑する姿を見る。
恥ずかしいのか照れているのか、頬を少し赤色に染めながら大橋くんを見つめる花木さんは、端から見ていてもとても幸せそうだし、徹と中川くんが言うように、大橋くんのことが好きなんだろうな、とわかる。
大橋くんも、花木さんに呼び出されるようになって数日は少し緊張した様子だったけれど、今ではすっかり楽しそうに笑っている。
なんか、初々しいカップルって感じで、お似合いだなあ……。
「加恋?」
廊下を見つめたままの私に気が付いたのか、涼くんが、聞いてる?と尋ねる。
「ごめん、なんだかぼーっとしてた」
何の話だったっけ、と愛想笑いを浮かべながら尋ねると、涼くんは困ったように首を傾けた。
「気になるの?」
「なにが?」
「あの子のこと」
涼くんが視線で大橋くんのことだと教える。
「隣にいる女の子って、彼女?」
この前も一緒にいたよね、という涼くんに、あまり学校に来ていない涼くんでも、花木さんの存在は分かるほどよく教室に来ているんだなと思う。
「野球部のマネージャーらしいよ。大橋くんのこと、すきなんだって」
私の答えに、涼くんはホッとしたような顔をした。
「お似合いだし、付き合えばいいのにね」
その涼くんの言葉に、私はなぜか肯定したくなくて、けれど否定も出来なくて、「何の話してたっけ」と話題を戻す。
それからというもの、涼くんは撮影での面白い話をしてくれたけど、私はあまり集中できなかった。
“お似合いだし、付き合えばいいのにね”
涼くんの言葉が頭の中にぐるぐるめぐる。
大橋くんは、花木さんと付き合うのかな。
大橋くんは、花木さんのことすきなのかな。
花木さんは、大橋くんに告白したのかな。
私には関係のないことだと思いつつも、気になって仕方がなかった。
今では1日に2、3回は2人が教室の前の廊下で談笑する姿を見る。
恥ずかしいのか照れているのか、頬を少し赤色に染めながら大橋くんを見つめる花木さんは、端から見ていてもとても幸せそうだし、徹と中川くんが言うように、大橋くんのことが好きなんだろうな、とわかる。
大橋くんも、花木さんに呼び出されるようになって数日は少し緊張した様子だったけれど、今ではすっかり楽しそうに笑っている。
なんか、初々しいカップルって感じで、お似合いだなあ……。
「加恋?」
廊下を見つめたままの私に気が付いたのか、涼くんが、聞いてる?と尋ねる。
「ごめん、なんだかぼーっとしてた」
何の話だったっけ、と愛想笑いを浮かべながら尋ねると、涼くんは困ったように首を傾けた。
「気になるの?」
「なにが?」
「あの子のこと」
涼くんが視線で大橋くんのことだと教える。
「隣にいる女の子って、彼女?」
この前も一緒にいたよね、という涼くんに、あまり学校に来ていない涼くんでも、花木さんの存在は分かるほどよく教室に来ているんだなと思う。
「野球部のマネージャーらしいよ。大橋くんのこと、すきなんだって」
私の答えに、涼くんはホッとしたような顔をした。
「お似合いだし、付き合えばいいのにね」
その涼くんの言葉に、私はなぜか肯定したくなくて、けれど否定も出来なくて、「何の話してたっけ」と話題を戻す。
それからというもの、涼くんは撮影での面白い話をしてくれたけど、私はあまり集中できなかった。
“お似合いだし、付き合えばいいのにね”
涼くんの言葉が頭の中にぐるぐるめぐる。
大橋くんは、花木さんと付き合うのかな。
大橋くんは、花木さんのことすきなのかな。
花木さんは、大橋くんに告白したのかな。
私には関係のないことだと思いつつも、気になって仕方がなかった。