ずっと探していた人は
【ごめん、イブもクリスマス当日も仕事だ】

涼くんからの返事は、メッセージを送った翌日の夜に来た。

自分の部屋で宿題に取り掛かっていた私は、画面に映し出されたメッセージを見て、ゆっくりとスマートフォンを手に取ると、アプリを起動させた。

【わかった、頑張って】

それだけ打ち込むと、私は徹たちとのグループトークに打ち込んだ。

【私もクリスマスパーティー、参加するよ】

送信ボタンを押したと同時に、スマートフォンが震え、別のメッセージを受信したことを知らせた。

【加恋、大丈夫なの?】

そこには由夢からのメッセージ。

由夢が聞きたいことはわかっていた。

きっと心配してくれているんだろうな。

【うん、大丈夫、相手、仕事だから】

由夢に心配してほしくなくて、にっこり笑っているクマのスタンプを一緒に送る。

【あんまり、無理しちゃだめだよ】

由夢はそう言ってくれたけれど、私は自分でも驚くぐらい、ショックを受けていなかった。

きっと仕事だろうなって心のどこかで予想していたのかもしれない。

涼くんのことを冷めたわけじゃない。

けれど、私の中では、諦めの気持ちが大きくなりつつあるのも事実だった。

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