ずっと探していた人は
バレンタイン
「雪降ってるーっ!!」

休み時間、窓に駆け寄りながら由夢が叫ぶ。

由夢の声に引き寄せられるかのように、クラスメートの数人が窓の方へ駆け寄った。

年は変わり、あっという間に2月になった。

「あいつら、いつまであんなんなんだろうな」

ひときわ騒いでいる由夢と徹を見ながら、隣の席に座っている中川くんは呆れたようにため息をついた。

「来年度はもう受験生なのにねえ」

「お前っ……」

中川くんが、ギロッと私をにらむ。

「受験の話とかするなよ…………」

受験の話は先生と親だけで充分だぜ、と中川くんは顔をゆがめる。

そう、私たちはもうすぐ受験生になる。

あっという間に過ぎ去る時間の中、何も変わらないようで、確実に私たちの周りの環境は変わりつつあった。



「バレンタイン、どうすんの」

お昼休み、徹の口から唐突に出された言葉に、私は思わずせき込んだ。

けれど徹が聞いたのは、私じゃなかった。

「どうするって…………」

聞かれた張本人も少し戸惑っている。

「だから、バレンタイン!」

無言の大橋くんに、中川くんがフォローする。

「一緒に過ごすのかどうかだよ、花木と」

「え、花木さんと!!」

中川くんの言葉に、由夢は驚いたように声を上げた。
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