ずっと探していた人は
もう一度私の隣に並んで歩きだした大橋くんに、私は思い切って尋ねる。

「花木さんと、バレンタインに会うの?」

私には関係のないことだとわかりつつも、やっぱり気になってしまう。

私から質問されることは予想外だったのか、大橋くんは黙り込んだ。

「ごめん、前、『大橋くんが花木さんから告白された』って徹が言ってたから、気になっちゃって」

大橋くんを困らせてしまったかと思うと、私は聞いたことを後悔した。

「うん、過ごそうかなって思ってる」

「そっか……」

花木さんと過ごすということは、大橋くんも花木さんのことが好きっていうことなんだろうな……。

大橋くんに特別な人が出来るのは、本当は喜ばしいことなんだろうけど、
この一年間の思い出が多すぎてーそして一番苦しいときに支えてもらったからー身勝手だと思いつつも、少しだけ寂しくもある。

そんな思いを悟られたくなくて、私はわざと明るい声で言う。

「やっぱり、マネージャーと選手って、いいよね!」

「そう……?」

大橋くんは首をかしげる。
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