ずっと探していた人は
「だって、ほら、部活でも支えてもらえるじゃん。私は彼氏に仕事のアドバイスなんてできないし、好きな人が頑張っているところを隣で応援できるっていいなーって思って! それに大橋くんも嬉しいよね、試合中とかも、好きな人がそばにいてくれたら安心するよね!」

途中から自分が何を言っているのか分からなくなりつつも私は一気にまくし立てた。

「そうかな……?」

と大橋くんはあまり納得していない様子で尋ね返した。

「俺は」

続く言葉を聞こうと大橋くんを見上げると、大橋くんの視線と合う。

「ううん、何もない。いいよね、マネージャーと選手って」

大橋くんは、また前を向く。

「大橋くん……」

“俺は”の後に続く言葉が気になって聞きたくて。けれど聞いてはいけない気もして。
その後私たちは別れるまで、何も話さず、黙って歩き続けた。


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