ずっと探していた人は
バレンタイン当日。

「今日の加恋……なんか大人っぽいね」

約束通り、仕事をお休みして最寄り駅まで迎えに来てくれた涼くんは、会うとすぐに私服を褒めてくれた。

黒色のテーラードワンピースにシルバーのハートのアクセサリーというシンプルな服装。

涼くんとのデートは久しぶりすぎて、どんな服装が良いのかちょっと悩んだけれど、褒めてくれてくれたのが嬉しくて、私はニッコリ笑う。

「今日はどこ行くの??」

バレンタインデーにデートをするとは決まっていたものの、デートプランは当日まで内緒だと涼くんから言われていた。

バレンタインデーだから本当は私がデートプランを立てようと思っていたけれど、どうしても涼くんから、行きたい場所があると言われていた。

どこに連れて行ってくれるのかな。

切符を買ってくれている涼くんに尋ねる。

「はい、これ加恋の分」

「ありがとうー……え?」

渡された切符には、テーマパークの名前が印字されている。

パッと顔を上げると、涼くんは少し恥ずかしそうに笑う。

「久しぶりのデートだから、なんだかすごくベタなデートがしたくて」

ここでよかった?と聞く涼くんに、私は大きくうなずく。

「ありがとう! 楽しみ!」

私の反応に安心したのか、涼くんはいつものように完璧な笑顔を見せてくれた。

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