ずっと探していた人は
さすが休日でバレンタイン当日ということもあって、テーマパークはカップルでとても混雑していた。
「すごい人だね……」
チケットを買うために何時間並ばないといけないのだろう、と考えていると、涼くんから、「はい」と渡される。
「ありがとう……?」
チケットを買ってくれていたことに嬉しさを覚えつつ、見たことのない、いつも私が買うのとは違う種類のチケットが渡されて、私は少し戸惑う。
「初めて見た? このチケット」
私のリアクションが予想内だったのか、涼くんは私の顔を覗き込んだ。
「これ、待ち時間なしで全部のアトラクションに乗れるんだよ」
「待ち時間なし!?」
何か特典がついているチケットなのかな、とは思ったけれど、特典がまさかの待ち時間ゼロだとは思わず、私はチケットと涼くんの顔を交互に見る。
そんな私を見ながら、涼くんはハハッと笑う。
「この前、仕事出来た時にもらったんだ。使うなら今日がいいかなと思って」
確かにこれだけ混んでいると、1日園内にいても、普通に並ぶと2,3個しかアトラクションは乗れないだろう。
嬉しい。嬉しいけれど。
「こんな貴重なチケット、私と使っちゃっていいの……?」
きっと関係者や取引先にしか配られないであろう特別なチケットを、本当に今日私と使っていいのかな。
嬉しさと同じぐらい、なんだか申し訳なさを感じてしまう。
「どうして? 加恋と使うために、とってたんだよ?加恋と使うの、楽しみにしていたんだよ?」
私を安心させるかのように、頭をぽんぽんと涼くんが撫でてくれる。
「せっかく使うんだから、喜んでほしい、な?」
私と同じ目線までかがんで、涼くんが尋ねる。
「わかった、ありがとう」
「よし、じゃあ行こう!」
涼くんが左手を差し出す。
私はその左手を、右手でしっかりと握った。
「すごい人だね……」
チケットを買うために何時間並ばないといけないのだろう、と考えていると、涼くんから、「はい」と渡される。
「ありがとう……?」
チケットを買ってくれていたことに嬉しさを覚えつつ、見たことのない、いつも私が買うのとは違う種類のチケットが渡されて、私は少し戸惑う。
「初めて見た? このチケット」
私のリアクションが予想内だったのか、涼くんは私の顔を覗き込んだ。
「これ、待ち時間なしで全部のアトラクションに乗れるんだよ」
「待ち時間なし!?」
何か特典がついているチケットなのかな、とは思ったけれど、特典がまさかの待ち時間ゼロだとは思わず、私はチケットと涼くんの顔を交互に見る。
そんな私を見ながら、涼くんはハハッと笑う。
「この前、仕事出来た時にもらったんだ。使うなら今日がいいかなと思って」
確かにこれだけ混んでいると、1日園内にいても、普通に並ぶと2,3個しかアトラクションは乗れないだろう。
嬉しい。嬉しいけれど。
「こんな貴重なチケット、私と使っちゃっていいの……?」
きっと関係者や取引先にしか配られないであろう特別なチケットを、本当に今日私と使っていいのかな。
嬉しさと同じぐらい、なんだか申し訳なさを感じてしまう。
「どうして? 加恋と使うために、とってたんだよ?加恋と使うの、楽しみにしていたんだよ?」
私を安心させるかのように、頭をぽんぽんと涼くんが撫でてくれる。
「せっかく使うんだから、喜んでほしい、な?」
私と同じ目線までかがんで、涼くんが尋ねる。
「わかった、ありがとう」
「よし、じゃあ行こう!」
涼くんが左手を差し出す。
私はその左手を、右手でしっかりと握った。