ずっと探していた人は
「これ、加恋に似合うんじゃない?」

テーマパークに入ると最初に、涼くんは入り口近くのお店に私を連れて行った。
涼くんは少し悩んだ後、テーマパークのキャラクターの耳にリボンが付いたカチューシャを私につけた。

「え、ちょっと恥ずかしいよ」

「かわいいのに」

今までカチューシャをしたことなんてほとんどない私は恥ずかしくて、似合わないって、と外す。

「けどせっかくだし。ペアでつけたいな……」

そう言いながら、涼くんは自分もキャラクターの耳が付いたカチューシャをつける。

「涼くんは……本当に何つけても似合うよね」

モデルってやっぱりすごい。

普通の人がつけたら少し笑えるようなカチューシャも、涼くんがつけると、なんだか様になる。

「加恋も似合ってたよ?せっかくだし一緒につけよう?」

10分程、つける、つけないのやり取りをしていたけれど、最終的には涼くんの押しに負けてしまい、しぶしぶ私はカチューシャをつける。

「こんな感じでいいのかな……」

「とっても可愛いよ」

涼くんは本当に嬉しそうに笑い、スマートフォンでツーショットを撮った。

「これ、待受画面にしようかな」

「恥ずかしいから絶対やめてよっ」

私の抵抗はここでも受け入れられなかったようで、涼くんはさっそく待受画面にしていた。


「さーて、何乗ろうか?」

いつもどこか落ち着いている涼くんがとてもはしゃいでいて、なんだかとてもかわいい。

「加恋、何か乗りたいのある?」

最初は加恋が乗りたいアトラクションに乗ろう、と涼くんが提案してくれる。

「えーっとね……」

どんな乗り物があったかな?と思い出しながら園内マップを見る。

「私、これ乗りたい」

大好きなくまのキャラクターと森を冒険するアトラクションを指さすと、涼くんは「りょーかい」と笑って連れて行ってくれた。

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