ずっと探していた人は
「そろそろディナー、食べに行こうか」

ほとんどのアトラクションを乗り終え、園内もすっかり暗くなりイルミネーションが点灯し始めた頃、涼くんが「実は予約していたんだよ」と笑顔で言う。

「ほんと?? ありがとう」

まさかディナーまで予約してくれているとは思わなくて、さすがだなあと思う。

本当に……私には勿体ないぐらい素敵な彼氏だ。

「本当にありがとうね」

「何、改まって」

しんみり言った私に、涼くんはくしゃくしゃと私の頭を撫でた。


涼くんが連れて行ってくれたお店は、完全予約制で、特別チケットが無ければ入られないお店だった。

「このお店、本当にあったんだ」

まるでお城のような造りのレストランを目の前に、私はつぶやく。

ネット上で、園内に完全予約制のレストランがある、と見たことはあったけれど、私の周囲では誰も行ったことが無くて、本当に実在していたことに私は驚いた。

それは涼くんも同じだったみたいで、「俺も今回予約するまで知らなかったよ」と笑った。

お店の中は、園内にいることを忘れさせるほどの静かな空間で、案内された席も、真っ白な壁に真っ黒な机と椅子が置かれている落ち着いた感じの個室だった。

席について大きな窓越しに眼下を見下ろすと、まるで宝石を散りばめたかのように、色とりどりのイルミネーションが輝いている。

「うわあ、綺麗だね」

「本当に綺麗……」

今まで何度かイルミネーションや夜景を見に行ったことはあるけれど、ここまでの絶景は初めてだった。

「すごいね……」

私たちは思わず時を忘れて黙り込んで、夜景を堪能した。

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