ずっと探していた人は
星のアイスクリーム
登校中、春らしい柔らかな日差しが差し込む中、ふと元気な声が響き渡るグラウンドに目をやる。

「今日も、元気だなあ」

足を止め、フェンス越しに部員たちを眺める。

「滝川!」

右奥でバッティング練習をしていた中川くんが私に気づき、駆け寄ってきてくれた。

「おはよ」

「おはよう、今日も頑張ってるね」

「おう、こう見えてもキャプテンだからな」

「よっキャプテン!」

囃したてると、中川くんは少し照れたように「うるせーよっ」と笑った。


「加恋~!!」

中川くんの後ろから、私に気づいた徹が走ってくる。

「おはよ!」

「おはよう、今日も元気だねえ」

少しあきれながら笑うと、徹はニカッと明るく笑う。

「やっと対外試合禁止期間が終わるんだぜ? 練習にも気合入るって!」

「そっか、もうすぐ練習試合再開するんだね」

いつも通りの徹の元気に私は苦笑しつつグラウンドを見渡す。


「どうした?」

徹が私と一緒にグラウンドを見る。

「ううん、なんでもない」

「大橋、か?」

徹の鋭い質問に、私は反射的に首を振る。

「ただグラウンドを見渡しただけだよ。練習の邪魔してごめんね、また教室で」

何か言いたそうな2人に背を向け、私は足早に教室へ向かった。

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