ずっと探していた人は

【単語テスト、返却されたら点数報告しろよ】

授業が始まる直前、中川くんが、大橋くんと徹、由夢と私の５人のグループトークにメッセージを投稿した。

中間テスト、３日前。

テストの１週間前から部活がお休みとなった野球部３人と私と由夢は、テストに向けて、毎日休み時間と放課後、集まって勉強をしていた。

そして２日前に実施された、英語の小テスト。

テスト範囲の英単語５０問の確認テストだったけれど、みんな何点取れているかな。

さすがにテスト１週間前を切ったし、40点ぐらいは取れているよね……。

メッセージを投稿したグループトークを開けたまま、テストが返却される様子を眺める。

最初に返却されたのは、メッセージを投稿した張本人の、中川くん。

【４6！】

表示されたのと同時に中川くんを見ると、ばっちり目が合う。

私は「さすが！」と口パクで伝えながらぱちぱち拍手すると、中川くんは得意顔でガッツポーズをしてみせた。

中川くんは自分でしっかり勉強していたから、ほとんど何もサポートはしていない。

むしろわからない問題を、教え合っていた。

そんな一緒に頑張っている仲間がいい点数を取ってくれることは嬉しい。

グループトークでは、【すごい！】と書かれたスタンプが連打されていた。

【２５だった！　まあまあ頑張った！！】

次に返却されたのは、由夢。

２５かあ…………。

今までほとんど単語を覚えていなかった由夢にしてはよく頑張ったけれど、テスト1週間前で２５は大丈夫なのだろうか……。

由夢は地頭が良いから、きちんと勉強したらもっと良い成績が取れるのに勿体ないなあ、と思いつつ、とりあえず私は、OKと書かれたスタンプを押した。

次に返却されたのは、徹。

【なー、やばい、１０だった！！笑笑】

１０？！？！

驚きのあまりメッセージの受けとりと同時に徹のほうを見ると、周りの男子と点数を見せ合いながら笑っている。