ずっと探していた人は
休み時間、チャイムと同時に私は席を立った。
そしてそれは他の3人も同じで。
一斉に大橋くんの席に押し寄せた。
「大橋くん!すごいじゃん!」
一番大橋くんと席の近い由夢がほめている声が聞こえる。
「お前、いつそんなに勉強したんだよ」
中川くんに笑顔はなく、本気で驚いている様子が伝わってくる。
「大橋~、お前天才だったんだな!!」
いつも通りよく通る、徹の声。
そして。
「大橋くん、やったね!!」
私は思わずハイタッチをするように胸の前に両手を差し出すと、大橋くんは、恥ずかしそうに、けれど嬉しそうに、顔を真っ赤にしながらパンッとハイタッチしてくれた。
「1週間前まで部活もあったのに、いつ勉強していたんだよ、どうやって勉強たんだよ」
すごいなー、お前本当に天才だよ、徹が褒めちぎる。
「この点数は、」
真っ赤な顔をあげた大橋くんは、私のほうを見た。
「滝川さんの、おかげだ」
自分の名前が出されるなんて想像もしていなくて、思わず私は固まる。
「滝川のおかげ?」
中川くんが不思議そうに聞き返す。
「滝川さんが、勉強の方法を教えてくれたから、その通りに勉強した。そしたら点数取れた」
更に顔を赤くしながらも嬉しそうに笑う大橋くん。
「だから、滝川さんの、おかげ!」
そう断言してくれたことが嬉しくて、けれど同時に照れ臭くもあって、私は誤魔化すように笑った。
「ちょっと加恋、私にも勉強の仕方教えてよっ」
「ほんとだ!大橋にだけずるいぞ!」
由夢と徹の抗議をなだめつつ、「私のおかげじゃないよ、大橋くんが頑張ったからだよ」というと、大橋くんは「もっともっと頑張るね、英語」と、嬉しそうに宣言した。
【滝川さん、本当にありがとう。テストの日も頑張るからね!】
授業で席に戻った私を追いかけるかのように届いた大橋くんからのメッセージを読み、思わず私は笑みがこぼれた。
別に私のおかげだなんて、全く思っていない。
それでも、私、少しでも大橋くんの役に立てたのかな。
「だから、滝川さんの、おかげ!」
大橋くんが断言してくれた様子を、何度も思い出す。
誰かの力になれることって、嬉しいんだな。
最初は勉強を教えることにあまり乗り気じゃなかったし、正直面倒くさいとも思っていた。
けれど、今は違う。
誰かの役に立てることって、こんなに幸せなんだ。
クラスメートに勉強を教えて、感謝されただけ。
たったそれだけのことだったけれど、私はとても暖かい幸せな気持ちになった。
そしてそれは他の3人も同じで。
一斉に大橋くんの席に押し寄せた。
「大橋くん!すごいじゃん!」
一番大橋くんと席の近い由夢がほめている声が聞こえる。
「お前、いつそんなに勉強したんだよ」
中川くんに笑顔はなく、本気で驚いている様子が伝わってくる。
「大橋~、お前天才だったんだな!!」
いつも通りよく通る、徹の声。
そして。
「大橋くん、やったね!!」
私は思わずハイタッチをするように胸の前に両手を差し出すと、大橋くんは、恥ずかしそうに、けれど嬉しそうに、顔を真っ赤にしながらパンッとハイタッチしてくれた。
「1週間前まで部活もあったのに、いつ勉強していたんだよ、どうやって勉強たんだよ」
すごいなー、お前本当に天才だよ、徹が褒めちぎる。
「この点数は、」
真っ赤な顔をあげた大橋くんは、私のほうを見た。
「滝川さんの、おかげだ」
自分の名前が出されるなんて想像もしていなくて、思わず私は固まる。
「滝川のおかげ?」
中川くんが不思議そうに聞き返す。
「滝川さんが、勉強の方法を教えてくれたから、その通りに勉強した。そしたら点数取れた」
更に顔を赤くしながらも嬉しそうに笑う大橋くん。
「だから、滝川さんの、おかげ!」
そう断言してくれたことが嬉しくて、けれど同時に照れ臭くもあって、私は誤魔化すように笑った。
「ちょっと加恋、私にも勉強の仕方教えてよっ」
「ほんとだ!大橋にだけずるいぞ!」
由夢と徹の抗議をなだめつつ、「私のおかげじゃないよ、大橋くんが頑張ったからだよ」というと、大橋くんは「もっともっと頑張るね、英語」と、嬉しそうに宣言した。
【滝川さん、本当にありがとう。テストの日も頑張るからね!】
授業で席に戻った私を追いかけるかのように届いた大橋くんからのメッセージを読み、思わず私は笑みがこぼれた。
別に私のおかげだなんて、全く思っていない。
それでも、私、少しでも大橋くんの役に立てたのかな。
「だから、滝川さんの、おかげ!」
大橋くんが断言してくれた様子を、何度も思い出す。
誰かの力になれることって、嬉しいんだな。
最初は勉強を教えることにあまり乗り気じゃなかったし、正直面倒くさいとも思っていた。
けれど、今は違う。
誰かの役に立てることって、こんなに幸せなんだ。
クラスメートに勉強を教えて、感謝されただけ。
たったそれだけのことだったけれど、私はとても暖かい幸せな気持ちになった。