ずっと探していた人は
「今日の放課後、空いてる?」
大好きな彼に会えたことに加えてプレゼントまでもらい、満面の笑みを浮かべた私を満足気に見つめた後、涼くんは少し首をかしげながら尋ねた。
「うん、空いてるよ」
プレゼントから視線を涼くんに移す。
私の返事を嬉しく思ってくれたのか、涼くんは「よかった」と微笑む。
「それじゃあ、撮影ついてきてくれないかな?今日の撮影はきっと早く終わるから、そのあと一緒にご飯でも食べよう」
涼くんが優しく私の頭をなでる。
私は涼くんの提案に大きくうなずくと、彼はまぶしい笑顔で―雑誌で見せる、輝くような笑顔で―「楽しみだね」と言ってくれた。
放課後、終礼が終わると同時に私は教室を飛び出して、涼くんと待ち合わせをしている靴箱へ急ぐ。
「涼くん……」
靴を履き替えて外に出ると、そこには、ひらひら舞い落ちる桜の花びらの中、桜の木に寄り添って立っている涼くんがいた。
こんなにかっこいい人が、私の彼氏だなんて……いまだに信じられないなあ……。
まるで映画やドラマのワンシーンのような光景に、思わず私はじっと見入ってしまう。
「加恋?」
そんな私の視線に気づいたのか、涼くんは私を見て、手をあげる。
「行くよ?」
涼くんが、左手を差し伸べながら、私に微笑む。
「うんっ」
涼くんの左手を握る。
すると涼くんは、それに応えるかのように、私の右手をギュッと握った。