ずっと探していた人は
「いいんだ、このままで。何も伝えないままで、いいんだ」
一気に話した私に、大橋くんは「でも……」とためらいがちに言う。
「俺が滝川さんの彼氏なら、ちゃんと滝川さんの気持ち、知りたいと思う……」
大橋くんは、私の様子を伺う様にチラッと見る。
「私の彼氏も、少しは、私の気持ちを知りたいって、思ってくれていたらいいな……」
思わず出てしまった本音に、大橋くんは、「ごめん、2人のこと、何も知らないのに」と慌てて謝る。
「謝らなくていいよ。大橋くんは何も間違ったこと、言ってないもん」
次は私が首を振る。
「徹にもね、ちゃんと気持ち伝えたほうがいい、って言われているの。けどね、やっぱりもう……私の中では諦めの気持ちが、大きくなりすぎちゃって……」
私は「うん、これでいいんだ」と続ける。
「この話、みんなには内緒ね? 2人だけの秘密、ね」
私はこれ以上この話を続けたくなくて、ニコッと大橋くんに笑う。
そんな私を見て、大橋くんは少し切なげな表情でうなずいた。
「残りのアイスも、食べよう?」
相手のほうへ箱を押したけれど、大橋くんはじっと箱を見つめたままだった。
「大橋くん?」
「俺も、秘密の話してもいい?」
少しの沈黙の後、大橋くんが切り出す。
「ん? いいよ」
何のことだろうと、続きの言葉に耳を澄ます。
「俺、」
“初めて、野球が楽しくなくなった”
大橋くんの言葉が耳に響く。
一気に話した私に、大橋くんは「でも……」とためらいがちに言う。
「俺が滝川さんの彼氏なら、ちゃんと滝川さんの気持ち、知りたいと思う……」
大橋くんは、私の様子を伺う様にチラッと見る。
「私の彼氏も、少しは、私の気持ちを知りたいって、思ってくれていたらいいな……」
思わず出てしまった本音に、大橋くんは、「ごめん、2人のこと、何も知らないのに」と慌てて謝る。
「謝らなくていいよ。大橋くんは何も間違ったこと、言ってないもん」
次は私が首を振る。
「徹にもね、ちゃんと気持ち伝えたほうがいい、って言われているの。けどね、やっぱりもう……私の中では諦めの気持ちが、大きくなりすぎちゃって……」
私は「うん、これでいいんだ」と続ける。
「この話、みんなには内緒ね? 2人だけの秘密、ね」
私はこれ以上この話を続けたくなくて、ニコッと大橋くんに笑う。
そんな私を見て、大橋くんは少し切なげな表情でうなずいた。
「残りのアイスも、食べよう?」
相手のほうへ箱を押したけれど、大橋くんはじっと箱を見つめたままだった。
「大橋くん?」
「俺も、秘密の話してもいい?」
少しの沈黙の後、大橋くんが切り出す。
「ん? いいよ」
何のことだろうと、続きの言葉に耳を澄ます。
「俺、」
“初めて、野球が楽しくなくなった”
大橋くんの言葉が耳に響く。