ずっと探していた人は
夏休み
それから1か月近くたち、中間テストに続き、無事1学期の期末テストも終えた7月の夏休み直前のある日の昼休み、私は涼くんに呼び出されて屋上に来ていた。
「ごめん、遅くなった」
屋上の柵にもたれながら何か分厚い本を読んでいる涼くんに声をかける。
涼くんはここ最近とても仕事が忙しいみたいで、学校に来るのは3週間ぶりぐらいだった。
「ううん、俺も来たところ」
あ、これ、プレゼント、そういいながら小さいけれど高級そうな紙袋を私に差し出す。
「ありがとう、いつも本当にありがとうね」
「加恋のためなら、なんでもできるよ」
そう言って笑う涼くんは、最後に会った時よりも髪の毛が少し伸びていた。
「それ、台本?」
分厚い本を指さして尋ねると、涼くんは嬉しそうにうなずいた。
「今日はさ、加恋にとってもいい報告があるんだ」
「それってこの前言ってた、報告?」
中間テストの直前ぐらいに、もう少しでいい報告ができそうだと笑っていた涼くんの言葉を思い出す。
「そうそう、よく覚えていたね」
久しぶりに頭を撫でられて、私は少しドキドキした。
「実はさ、俺、泉先生の作品に出演することになったんだ」
「泉先生って、泉翔太先生?!」
「そうだよ」
泉翔太先生とは、世界的に活躍している、映画界を牽引する有名な映画監督だ。
きっと日本中で、泉先生の名前を知らない人は、ほとんどいないだろう。
「す、すごい!!!」
思わず叫んだ私に、涼くんは少し得意げに笑った。
「これも、その台本」
「へえ、涼くん、なんだかすごいなあ。あの泉先生の作品に出演するなんて、なんかもう、すごいよ」
彼氏が世界的に有名な映画監督と一緒に作品を作っていくなんて。
凄すぎて、なんだか実感が湧かなかった。
「ごめん、遅くなった」
屋上の柵にもたれながら何か分厚い本を読んでいる涼くんに声をかける。
涼くんはここ最近とても仕事が忙しいみたいで、学校に来るのは3週間ぶりぐらいだった。
「ううん、俺も来たところ」
あ、これ、プレゼント、そういいながら小さいけれど高級そうな紙袋を私に差し出す。
「ありがとう、いつも本当にありがとうね」
「加恋のためなら、なんでもできるよ」
そう言って笑う涼くんは、最後に会った時よりも髪の毛が少し伸びていた。
「それ、台本?」
分厚い本を指さして尋ねると、涼くんは嬉しそうにうなずいた。
「今日はさ、加恋にとってもいい報告があるんだ」
「それってこの前言ってた、報告?」
中間テストの直前ぐらいに、もう少しでいい報告ができそうだと笑っていた涼くんの言葉を思い出す。
「そうそう、よく覚えていたね」
久しぶりに頭を撫でられて、私は少しドキドキした。
「実はさ、俺、泉先生の作品に出演することになったんだ」
「泉先生って、泉翔太先生?!」
「そうだよ」
泉翔太先生とは、世界的に活躍している、映画界を牽引する有名な映画監督だ。
きっと日本中で、泉先生の名前を知らない人は、ほとんどいないだろう。
「す、すごい!!!」
思わず叫んだ私に、涼くんは少し得意げに笑った。
「これも、その台本」
「へえ、涼くん、なんだかすごいなあ。あの泉先生の作品に出演するなんて、なんかもう、すごいよ」
彼氏が世界的に有名な映画監督と一緒に作品を作っていくなんて。
凄すぎて、なんだか実感が湧かなかった。