ずっと探していた人は
幼馴染
「おお! また涼くん載ってるじゃん!!」

5月。ゴールデンウィークを終えて久々に教室へ集まったクラスメートは、なんだかんだ学校に来るのが楽しみだったのか、休み前よりも少しにぎやかで。

それは昼休みも例外ではなかった。

「すごいなあ、やっぱりかっこいいなあ!!」

お弁当のおかずを口に運びながら、親友の由夢(ゆめ)が私の前で今日発売の雑誌のページをめくる。

雑誌を覗き込むと、そこには、春らしい水色のカーディガンを羽織って、カメラから少し目線を逸らしながら笑っている涼くんがいた。

「涼くん、中学時代から、ダントツでかっこよかったもんね。ファンクラブもあったし!」

「そんなこと言うと、達也(たつや)くんに怒られるよ?」

達也くんとは、由夢が中学2年生の時から付き合っている彼氏。

中学時代、私と由夢はサッカー部のマネージャーをした。

そして私の彼氏の涼くんと由夢の彼氏の達也くんもサッカー部員で、部活を通して自然と仲を深めた私たちは、部活が休みの日によく4人で遊びに行った。

中学時代から学年トップを争うほど賢かった達也くんだけ違う学校に進学したけれど、涼くんと達也くんが中学校を卒業してからも、私たちはたまに4人で遊んでいた。

といっても、最近は涼くんが忙しくて、ほとんど4人で集まることができていないのだけれど。


「世間で見たら涼くんの方が絶対イケメンだと思う!けど私にとっては達也が一番イケメン!」

「ほんっとラブラブだよねえ~」

由夢と達也くんは本当に仲が良くて、中学時代も同級生から憧れの目で見られていたことを思い出す。

そして高校に入った今でも、そのラブラブさは健在だった。

「おーい! 加恋~!」

由夢と雑誌の続きを見ながらお弁当を食べていると、自分の名前が良く通る声で教室に響き渡る。

「徹!」

ふと顔を上げると、同じクラスで幼馴染の(とおる)がおにぎりを頬張りながらこっちへやってくる姿が見えた。

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