ずっと探していた人は
夏休みに入って1週間経った日。
部活をしていない私は、特に予定もなく、クーラーの効いた涼しい部屋でベッドに寝ころびながら漫画を読んでいると、頭の横に置いていたスマートフォンが鳴った。
ロック画面を開けると、徹がグループトークに送信したメッセージが表示される。
【今度の日曜日、地元の花火大会みんなで行こうぜ!】
【ちょうどその日、練習早く終わるから!】
「もう花火大会の時期なんだなあ……」
去年の花火大会は、由夢と達也くんと涼くん、私の4人で行ったっけ。
今年はまだ涼くんとの間でも、由夢との間でも、花火大会についての話題は全く出ていなかった。
涼くんに花火大会へ行くのかどうか聞いてみようと思い、スマートフォンを操作して電話番号を探す。
しかし、後ボタンを押すだけで電話がかかる、というところで私は手を止めた。
「きっと、花火大会どころじゃ、ないよね」
泉監督の作品の撮影が始まってから、私たちはほとんど連絡を取っていなかった。
そこに寂しさがないといえば嘘になるけれど、あれだけ喜んで気合を入れて臨んでいる撮影の邪魔はしたくなかった。
【いいよ~! 行く!】
グループトークに返事を打ち込んだ時、急に電話の受信画面が表示される。
「あれ、電話なんて珍しいな」
何かあったのかな、と心配しながら、「はい」と答える。
「あ、加恋~?」
電話から聞こえてきたのは、由夢のいつもより少し低い声だった。
「今ちょっとだけ時間ある?」
「うん、大丈夫。ゴロゴロしてただけだし」
私の答えを聞くと、由夢は、「ちょっと聞いてよ」と怒りを含んだ声で話し始める。
「どうしたの? 何かあった?」
「それが何かあったのよ」
私の返事に被せるように、由夢は答えた。
「さっき徹から、花火大会に行こうってお誘いあったでしょ? 今年はどうするのかなーって思って達也に電話したら、すっかり忘れて予定入れたって言われたの! ひどくない?!」
話し始めると、最初よりもずっと、由夢の声に怒りが含まれる。
部活をしていない私は、特に予定もなく、クーラーの効いた涼しい部屋でベッドに寝ころびながら漫画を読んでいると、頭の横に置いていたスマートフォンが鳴った。
ロック画面を開けると、徹がグループトークに送信したメッセージが表示される。
【今度の日曜日、地元の花火大会みんなで行こうぜ!】
【ちょうどその日、練習早く終わるから!】
「もう花火大会の時期なんだなあ……」
去年の花火大会は、由夢と達也くんと涼くん、私の4人で行ったっけ。
今年はまだ涼くんとの間でも、由夢との間でも、花火大会についての話題は全く出ていなかった。
涼くんに花火大会へ行くのかどうか聞いてみようと思い、スマートフォンを操作して電話番号を探す。
しかし、後ボタンを押すだけで電話がかかる、というところで私は手を止めた。
「きっと、花火大会どころじゃ、ないよね」
泉監督の作品の撮影が始まってから、私たちはほとんど連絡を取っていなかった。
そこに寂しさがないといえば嘘になるけれど、あれだけ喜んで気合を入れて臨んでいる撮影の邪魔はしたくなかった。
【いいよ~! 行く!】
グループトークに返事を打ち込んだ時、急に電話の受信画面が表示される。
「あれ、電話なんて珍しいな」
何かあったのかな、と心配しながら、「はい」と答える。
「あ、加恋~?」
電話から聞こえてきたのは、由夢のいつもより少し低い声だった。
「今ちょっとだけ時間ある?」
「うん、大丈夫。ゴロゴロしてただけだし」
私の答えを聞くと、由夢は、「ちょっと聞いてよ」と怒りを含んだ声で話し始める。
「どうしたの? 何かあった?」
「それが何かあったのよ」
私の返事に被せるように、由夢は答えた。
「さっき徹から、花火大会に行こうってお誘いあったでしょ? 今年はどうするのかなーって思って達也に電話したら、すっかり忘れて予定入れたって言われたの! ひどくない?!」
話し始めると、最初よりもずっと、由夢の声に怒りが含まれる。