ずっと探していた人は
「涼くん」

私を教室まで送ってくれた後、自分の教室に向かおうとする涼くんを私は呼んだ。

“ずっと待っていたんだよ”
“本当は寂しかったんだよ”
“たまにはまた電話してね”

伝えたいことがたくさんある。

けれど、きっと、この言葉1つで充分だ。

この言葉で、きっと涼くんには、伝わる。

「私、涼くんのこと、好きだよ」

時には寂しいけれど。
時には求めることを諦めそうにもなるけれど。

きっとずっと待っていることができるのは、それでも涼くんが好きだから。

好きだから、ずっと待ってる。

私の言葉に涼くんは少しだけ驚いて目を見開き、それから完璧な笑顔で言う。

「俺もだよ」

涼くんは私の元に戻って、手をぎゅっと握ってくれる。

「今までも、これからも、ずっと加恋だけだ」

「うん」

うなずく私に、涼くんは約束だよ、と言った。

「ずっと俺だけを、見ていて」

「うん」

廊下に差し込む朝日が私たち照らす。

私たちの間に差し込んだその光は、まるで久しぶりに会った私たちを祝うかのように、明るく優しく、私たちを包み込んだ。

< 49 / 155 >

この作品をシェア

pagetop