ずっと探していた人は
普段は邪魔になりたくないと思って、出来るだけ私からかけないようにしている電話。
まさか久しぶりに私からかける電話が、涼くんの熱愛報道についてだなんて、全く思っていなかった……。
出てほしいという一心でボタンを押す。
「だめだ、繋がらない」
ため息とともに電話を切るボタンを押すと、由夢もため息をついた。
「昨日も忙しい中1日一緒にいてくれたんでしょ? 涼くん、加恋のことちゃんと大切に思っていると思う。だから、こんなニュース、信じない方がいいよ」
とりあえず教室に入ろうと、由夢が私を立たせた。
教室に入ると、心なしかクラスメートみんながちらちらと私を見ている気がした。
「なんか、注目浴びてるよね」
小声で由夢に言うと、由夢は苦笑いした。
「まあ、渦中の人の彼女が同じクラスにいたら、気になるのかもね」
あんまり気にしない方がいいよ、と言ってくれる由夢にうなずいたとき、「滝川さんいますかー?」と甘ったるい声が聞こえてきた。
ハッとドアの方を振り向くと、見覚えのある女の人が4人立っていた。
「私ですけど」
「あ、そうそう、あなたね」
4人の前に立って返事をすると、真ん中に立っていた女の人が、ふっと鼻で笑って、私に近づいた。
「この記事、読んだ?」
その女の人が、手に持っていたスマートフォンをぐいっと私の目の前に突き出す。
そこには、さっき由夢が見せてくれたものと同じ記事が、表示されていた。
そこでやっと気が付いた。
この女の人たち、いつかテスト勉強をみんなでした日の帰りに、下駄箱で涼くんと喋っていた人たちだって。
「読みました」
素直に答えると、4人が同時に顔を見合わせて笑う。
「そうなんだ。よく平然といられるね?」
次は違う人が前に出てくる。
「やっと気づいた? それとも最初から気づいていたの? あんた、遊ばれていたって」
あんたみたいな年下で可愛くもない女が、彼女なわけないでしょ?
よくそんなダサい外見で今まで彼女面していたよね?
本当に彼女だと思っていたの?
けらけら笑いながら投げかけてくる言葉が、私に突き刺さる。
「ちょっとひどいんじゃないですか」
由夢が隣から口をはさんでくれる。
「なにが?」
「加恋は涼くんの彼女です」
由夢ははっきりと、4人に言い返す。
先輩ということにきっと由夢も気が付いている。
それなのに、堂々と、はっきり、伝えてくれた。
「由夢……」
ありがとう、そう言おうとしたとき、先輩に遮られた。
まさか久しぶりに私からかける電話が、涼くんの熱愛報道についてだなんて、全く思っていなかった……。
出てほしいという一心でボタンを押す。
「だめだ、繋がらない」
ため息とともに電話を切るボタンを押すと、由夢もため息をついた。
「昨日も忙しい中1日一緒にいてくれたんでしょ? 涼くん、加恋のことちゃんと大切に思っていると思う。だから、こんなニュース、信じない方がいいよ」
とりあえず教室に入ろうと、由夢が私を立たせた。
教室に入ると、心なしかクラスメートみんながちらちらと私を見ている気がした。
「なんか、注目浴びてるよね」
小声で由夢に言うと、由夢は苦笑いした。
「まあ、渦中の人の彼女が同じクラスにいたら、気になるのかもね」
あんまり気にしない方がいいよ、と言ってくれる由夢にうなずいたとき、「滝川さんいますかー?」と甘ったるい声が聞こえてきた。
ハッとドアの方を振り向くと、見覚えのある女の人が4人立っていた。
「私ですけど」
「あ、そうそう、あなたね」
4人の前に立って返事をすると、真ん中に立っていた女の人が、ふっと鼻で笑って、私に近づいた。
「この記事、読んだ?」
その女の人が、手に持っていたスマートフォンをぐいっと私の目の前に突き出す。
そこには、さっき由夢が見せてくれたものと同じ記事が、表示されていた。
そこでやっと気が付いた。
この女の人たち、いつかテスト勉強をみんなでした日の帰りに、下駄箱で涼くんと喋っていた人たちだって。
「読みました」
素直に答えると、4人が同時に顔を見合わせて笑う。
「そうなんだ。よく平然といられるね?」
次は違う人が前に出てくる。
「やっと気づいた? それとも最初から気づいていたの? あんた、遊ばれていたって」
あんたみたいな年下で可愛くもない女が、彼女なわけないでしょ?
よくそんなダサい外見で今まで彼女面していたよね?
本当に彼女だと思っていたの?
けらけら笑いながら投げかけてくる言葉が、私に突き刺さる。
「ちょっとひどいんじゃないですか」
由夢が隣から口をはさんでくれる。
「なにが?」
「加恋は涼くんの彼女です」
由夢ははっきりと、4人に言い返す。
先輩ということにきっと由夢も気が付いている。
それなのに、堂々と、はっきり、伝えてくれた。
「由夢……」
ありがとう、そう言おうとしたとき、先輩に遮られた。