ずっと探していた人は
「大丈夫だよ」

すっかり自信を無くした曖昧な私の返事に、大橋くんが笑う。

「滝川さんが好きになった人だもん。きっときちんと滝川さんを、守ってくれる人だよ」

そういう大橋くんの穏やかな笑顔に、不覚にもドキッとした。


その日の夜、スマートフォンの電源を付けると、由夢、中川くん、徹からたくさんのメッセージが来ていた。

どのメッセージも私を心配するものばかりで、こんなに心配してくれる友人たちがいることが心強くて、同時にこれだけ心配させて申し訳ないと心から思う。

グループトークに、心配をかけてしまった謝罪と、大丈夫だという言葉を送り、私は大きく深呼吸をする。

いつかは向き合わないといけない。逃げてばっかりではいられない。

もう一度大きく深呼吸をして、今日は見たくない名前から来ているメッセージを確認する。

【加恋、今どこにいる?】
【今から話し合えない?】
【見たら返事をしてほしい】
【いつでもいいから】

涼くんから送られてきたメッセージを1つ1つ読む。

いつまでも涼くんとの話し合いから逃げるわけにはいかないのはわかっている。

けれど結局涼くんと話しても何も変わらない気がして、このまま私が我慢し続けるしかない気がして、なかなか返事をする気にならない。

どうしょうかと悩んでいると、静かな部屋に、スマートフォンから着信を知らせる音楽が大きく鳴り響く。
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