青に染まる
僕、汀相楽は、あまり羽振りのよくない花屋を営んでいる。稼ぎがなくても父と母が支えてくれているらしいので、なんとか生活は成り立っている。
三十五歳にもなって親に頼っているというのは、情けない話だけれど。
彼らの話によると、僕は子どもの頃から花屋に憧れていたようだ。ちょうど引退時期だった伯父がこのまま潰すのは勿体ないからと、高卒の僕に店を譲ってくれた。
しかし問題は当人である僕が、そのときのやりとりを全く覚えていないということだ。店の受け渡しなんて、考えなくてもわかるくらい重要なことなのに。
いつからかなのか元々なのかは分からないけれど僕は忘れやすい性質で、昨日の客の顔もまともに覚えていない。客商売だというのに、困ったものだ。そもそも数える程の客は来ないのだが。
まあ周りは常連さんばかりでこの店もやって長いため、僕が忘れっぽいことへの理解はある。それが救いだった。
三十五歳にもなって親に頼っているというのは、情けない話だけれど。
彼らの話によると、僕は子どもの頃から花屋に憧れていたようだ。ちょうど引退時期だった伯父がこのまま潰すのは勿体ないからと、高卒の僕に店を譲ってくれた。
しかし問題は当人である僕が、そのときのやりとりを全く覚えていないということだ。店の受け渡しなんて、考えなくてもわかるくらい重要なことなのに。
いつからかなのか元々なのかは分からないけれど僕は忘れやすい性質で、昨日の客の顔もまともに覚えていない。客商売だというのに、困ったものだ。そもそも数える程の客は来ないのだが。
まあ周りは常連さんばかりでこの店もやって長いため、僕が忘れっぽいことへの理解はある。それが救いだった。