青に染まる
「……え?」
何を言っているのかわからない。僕、何か悪いことを言ってしまっただろうか。
「申し訳ございません。何かお気に障ることを口に」
「その口調、その顔、その姿!」
責め立てられるように続けられた言葉の数々。僕は口を挟むこともままならず、そのまま閉口してしまう。
花束の向こうにある彼の表情は窺い知れなかった。俯いてしまっている。
「君は何もかも、変わってしまった!」
その言葉に、胸がずきんと痛む。
そうだろう。きっと、そうなのだろう。
昔の写真なんて見たこともないがきっと目の前にいる人物ほどではないにしろ、今より綺麗な髪色だったにちがいない。
口調は……接客中だからだろうが、そんなによそよそしく聞こえたのだろうか? ……おそらく聞こえたのだろう。親しい間柄だったのなら、申し訳ない。
懸命に頭の中で考える。
考えろ、考えろ、この人とは一体いつ、どこで知り合っていた? どんな関係だった?
考えても考えても、答えは出ない。考えて記憶が戻るなら、もうとっくに戻っているはずなのだから。
「まさかと思ってずっと見ていたけれど、君は本当に俺のことを覚えてないんだね」
「ごめんなさい……」
大切な友人とか、そんな感じだったのだろうか?
大切な、友人──?
その単語が頭に引っ掛かるが、その引っ掛かりが取れないうちに僕を衝撃が襲う。