青に染まる
翌朝。早めに登校すると、教室には幸葵くんの姿しかなかった。
「おはようこう──」
びりっ
明るく呼び掛けようとしたところを引き裂くような音。なんだか空気が読めなかったみたいな雰囲気になって、僕は口をぱくぱくと間抜けに開閉させた。
朝日照らす教室の中、音源は教室のほぼ中央に立つ麗人幸葵くん以外にあり得ないだろう。はらはらと陽光に紙片が映えて、白い花びらのようだった。
彼は落ちていくそれを冷めた目で見ていた。数十秒の沈黙。
「ええと……」
気まずいながらもなんとか会話しようと試みた結果話題がないことに気づいて、なんとも締まりのない声が出た。そこで彼が振り向き、微かに瞠目する。
「相楽、いたんですか」
「うん、まあ」
気まずいままに、紙片を示して問いかける。
「それ、何?」
幸葵くんはきょとんとした後、僕が指し示す先を追い「ああ」と口にする。
「これですか。なんでもありません。敢えて言うなら下らない文の連なりだったものを無意味以下のものにしようと試みた結果です」
なんだか小難しい言い回しをするなぁ……。
「おはようこう──」
びりっ
明るく呼び掛けようとしたところを引き裂くような音。なんだか空気が読めなかったみたいな雰囲気になって、僕は口をぱくぱくと間抜けに開閉させた。
朝日照らす教室の中、音源は教室のほぼ中央に立つ麗人幸葵くん以外にあり得ないだろう。はらはらと陽光に紙片が映えて、白い花びらのようだった。
彼は落ちていくそれを冷めた目で見ていた。数十秒の沈黙。
「ええと……」
気まずいながらもなんとか会話しようと試みた結果話題がないことに気づいて、なんとも締まりのない声が出た。そこで彼が振り向き、微かに瞠目する。
「相楽、いたんですか」
「うん、まあ」
気まずいままに、紙片を示して問いかける。
「それ、何?」
幸葵くんはきょとんとした後、僕が指し示す先を追い「ああ」と口にする。
「これですか。なんでもありません。敢えて言うなら下らない文の連なりだったものを無意味以下のものにしようと試みた結果です」
なんだか小難しい言い回しをするなぁ……。