青に染まる
「サボり魔ということは、夏帆さんも緑化委員会なのかな?」
「何を隠そう、書記である!」
「胸張って言うなサボり魔」

 よくもまあすぐにツッコミが出てくるものだと感心する傍らで、ふと思う。

 書記ということは夏帆さんは字が綺麗なのだろうか。……いや、「馬鹿は字が綺麗」は迷信のはずだ。それはさておき。

「で、相楽が噂の七不思議?」
「実在する人間ですけどね」
「わあ、春子本当に七不思議っていたんだね」
「だから人間だっちゅうに」

 どうやら夏帆さんも七不思議の真実を確かめに来たらしい。

「これを期に緑化委員会の意識改革を図ろうかと」
「なるほど」

 春子さんの言う通り「緑化委員会」という委員会があるのだから、ちゃんと機能させることは大切だ。花の世話は好きだから、僕がやってもいいのだけれど。

「再来年には七不思議もいなくなるからな」
「あーっ、春子だって相楽のこと七不思議扱いじゃん!」
「まあまあ」

 言葉は選ぶべきかもしれないが、春子さんの言う通り僕は来年三年生になり再来年の三月には卒業するのだ。

 緑化委員会が機能しないままでは、この美しい花たちも綺麗に咲けなくなるかもしれない。それは可哀想に思えた。春子さんもそれを案じているのだろう。いい人だ。

「というわけで手始めに友人で緑化委員のこいつを連れてきたんだ」
「なるほど」
「そんなことより相楽の目、綺麗だねぇ、外国人みたい」
「そんなこととは何だそんなこととは」
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