LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「千花、全部本当の事を話す」
「本当の事?」
本当の事って何?
何か、嘘があったの?
「千花の母親…辻山さんと俺の父親は、不倫なんかしてない。
何もないよ」
その、根底から覆すような言葉に、
え、じゃなく、は?と声が出てしまう。
一体、何?
それが本当なら、何もかもが意味が分からなくなる。
なんで、私はこの人と結婚したのか?
「千花の父親は、俺も知ってる人で。
永倉大樹って人なんだ」
ながくらだいき…。
初めて聞く名前のその人が、私の父親?
いきなりそんな事言われても、混乱する。
「うちの父親と、その永倉さんは、歳はうちの父親の方5つ程年下なんだけど。
昔から仲良くて。
幼馴染みってやつで」
「え、あの、その私の本当の父親と、綾知さんの父親が仲良いのは分かったけど。
だから、それがなんなの?」
「昔、辻山さんが大学生の頃。学費を稼ぐ為に働いていたクラブで、永倉さんとは知り合ったらしいよ。それで二人は恋人に。
その時、千花の父親の永倉さんは、昔に奥さんとは死別して独身だったのだけど。
どうしても、また誰かと結婚出来ない理由があって。
それ以上に、辻山さんとの関係も周りに隠したくて。
だから、それで」
「それで?」
「永倉さんに頼まれて、うちの父親がそれを隠す為のカムフラージュの相手に。
辻山さん大学生だったから、その卒業後、彼女をうちの会社に入れて、うちの父親の秘書にして。
千花達がずっと住んでいたマンションも、俺の父親の持ち物だし。
何かしら、そうやって、千花の母親が俺の父親の愛人に見えるように装って」
「待って!じゃあ、なんで、綾知さんは私を憎んでいるの?
そうやって、自分の父親が私の両親の関係を隠すカムフラージュに使われたから?」
そう訊くと、こっちは真剣なのに、綾知さんは笑っている。
「それは、ない。
父親が本当に辻山さんと不倫関係であるより、もっとどうでもいい」
アハハ、と声を出して笑っている。
「もっと分かるように、私に説明して」