LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~

翌日の日曜日。


本当の予定は、綾知さんとドレスショップにドレスを取りに行き、結婚式場での打ち合わせだったけど。


それは、綾知さん一人に任せる事にした。


離婚する、しない、その答えが自分の中でハッキリとする迄、
とりあえず、そのまま色々と進めて欲しい、と、綾知さんには言っている。



そして、私は今日、
奥村さんを呼び出した。


それは、奥村さんの家の近くの喫茶店に。


話したい事があります、とだけ、LINEで告げた。


私がその喫茶店の店内で待っていると、
暫くして、奥村さんは現れた。


急に呼び出したからか素っぴんだけど、
やはりこの人は可愛い。



「お休みの所急に呼び出してすみません」


「いえ。
どうせ暇してたので気にしないで。
太陽も朝から友達とサッカーの練習だとかで居ないし。
けど、わざわざ私の家の近く迄来て貰って申し訳ないです」


「それは、気にしないで下さい」



奥村さんの家の場所は、綾知さんに聞いた。


というより、綾知さんがドレスショップに行くついでに、車でこの辺り迄送って貰った。



奥村さんは、近くに居た店員さんに、ホットコーヒーを頼んでいた。


私は既に前から居たので、もう、飲みものは頼んでいる。


目の前のオレンジジュースの入ったグラスは、もう半分減っている。


この喫茶店に入ってから奥村さんを呼び出すLINEをしたが。


なんだか、話す決心がなかなか出来なくて。


そのLINEを送るのに、けっこう時間が掛かった。


「それで、話とはなんですか?」


そう訊いて来る奥村さんも、私のようにそれなりに緊張しているのが分かった。



「永倉二葉は、いい男でした?」


ながくらふたば、の名を耳にした奥村さんの目が、揺れている。


だけど、次の瞬間、笑みを浮かべている。


「過ぎるくらい、いい男でしたよ」


今も、奥村さんは永倉二葉を愛しているんだ。


その人が、太陽君の父親。

< 112 / 148 >

この作品をシェア

pagetop