LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
そして、クリスマスイブ。



私と綾知さんの、結婚式。



結婚式場のチャペル。



バージンロードは、私の父親である、永倉大樹さんと歩く。


父親は体の至る所に癌が転移していて、
本当は、外出も病院から禁止されていて、
立ってるだけでもやっとなのに。


そんな素振りを見せず、私を連れて綾知さんの所迄、歩く。



今現在、もうこの人は、ヤクザの組長の座を退いていると、初めてお見舞いに行った時に言っていたので。


それならば、と、今回の事をお願いした。


「千花に父親らしい事をしてやれるのは、これが最初で最後だろうな」


バージンロードを歩く前、教会の扉の前で待機をしていた時。


そうポツリと言われて。


「これを最後にしないで」


そう、言い返すと、
そうか、と父親は笑っていた。



バージンロードを歩き終え、綾知さんの隣へと並ぶ。


そして、神父さんに、誓いの言葉を訊かれる。



「新郎綾知、あなたは千花を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」


「誓います」


そう、綾知さん。



「新婦千花、あなたは綾知を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」



「…誓います」


その誓いの言葉の意味を、噛み締めて誓う。



「では、誓いのキスを」


神父さんのその言葉で、
綾知さんは私のベールを上げて、私にそっと触れるようなキスをした。



綾知さんと私は目を見合せ。


きっと、今、同じ事を思っているんだな、と思った。



この人が憎らしいけど、大好きだ、って。




(終わり)
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