LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「千花と結婚してから俺、一度も浮気とかしてないけど。
でも、世の中、金持ってる男なら既婚者でも寄って来るような女も多いからなぁ」
そうやって、綾知さんは私を虐めて来る。
私に激甘な綾知さんだけど、
そうやって、意地悪な事も沢山言って来る。
そういう時はいつも、私がちょっと悲しそうに、浮気しないで、とか言うと、
満足そうに、分かってる、とか言って引き下がるのだけど。
でも、一度くらい本当にキツく言っておかないと、
うっかりと浮気されかねない。
「あのさ、もし浮気したら、私のお父さんに、綾知さんにされた事、ぜーんぶ話すから」
そう脅すと、綾知さんは苦笑い。
「それは、洒落にならないな。
俺、惨殺されるだろうな」
元、暴力団組長の私の父親。
結婚式を終え、もう1ヶ月経ったけど、
父親は以前より、薬のせいで眠っている時間が増えたけど、
わりと元気にしている。
でも、その時が近付いている事は、感じている。
「今日、仕事終わりにお父さんのお見舞いに行ったの。
そこで、お父さんの組の、新しい組長になった、松本さんって人?その人と会って話したんだけど」
元々その松本さんは、その組の若頭だったらしい。
「ああ。松本さん、名前は分かる。
俺、会った事ないけど」
「今日その松本さんが、私に言うの。
"千花さん。もし殺したい奴が居たら、俺に言って下さい"って」
「え、それは怖いねぇ」
そう、笑っているけど。
綾知さんも、松本さんのそれが冗談ではないのは、分かっているだろう。
「だから、浮気とかしない方がいいよ?」
そう、少し脅すように言うと、クスリと笑みを返された。
「な、なんで笑ってるの?」
「千花、俺の事、好きなんだな。
そんなヤクザ使って迄脅して来るなんて、必死」
それに、言い返せず、顔を赤くしてしまう。