LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「あれ?
千花、爪」
綾知さんは、掛布団を掴んでいる私の手を触る。
「爪で血中の酸素濃度測るからネイルは落として来てって、前に言われていて」
「ああ。明日午後から採卵だよな?」
「うん…」
麻酔するみたいだけど、痛いのかな、と怖い。
「俺も…、憂鬱だな。
あ、ちゃんと今日はアルコールは断って来たから」
綾知さんも、明日に採精する。
一度、検査でそれは経験しているが、
けっこう、嫌なものらしい。
その検査の結果、顕微授精を行える事になった。
「あの病院、けっこう古いAVしか置いてないんだよな。
ほら?鈴木広子とか、島崎マリンとか」
鈴木広子?島崎マリン?
AV女優?
「だから、今度も千花の裸思い出して、するかな」
そう言われて、けっこう恥ずかしい。
「明日そんな感じだから、私はもう寝るね」
なんだか、モヤモヤがスッキリとしたら、眠気が襲って来た。
この人は、浮気とか絶対しないだろうな、って。
「千花が怖いから、浮気なんかしないよ」
私の頭を撫でて、そう話している声がうっすらと聞こえる。
怖いって、なんなの、と、ぼんやりと思う。
「また、大嫌いとか言われたくないから。
だから、俺は千花が怖いから」
その辺りは、もう私は眠りに落ちていたけど。
(終わり)