LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「俺も、学校帰りにちょっと顔を出せと言われて来たんだけど。
来たら、辻山さんの子供も来ていて、こっちの部屋で一人でいるって、会社の人達が話しているのが聞こえて。
ちょっと心配だから様子見に来た」
そう優しそうに笑うから、私も警戒心を解いて笑い返していた。
「千花の事心配してくれたんだ」
「これ、料理適当に持って来たんだけど。
まだ夕飯には早いけど、お腹空いてない?」
高校生の眞山社長は、テーブルに料理の載った大きな皿を置いた。
「これ、なに?」
そう言って、皿の端に載るそれを指指した。
後は、唐揚げやポテトやピザ等、見た事あるものばかり。
「それはエビマヨ。
苦手なら、食べないで大丈夫だから」
そう言われ、エビフライが好きな私は、
そのエビマヨをフォークで突き刺し、口に入れてみた。
初めて食べる、エビマヨ。
「お…いしい…」
咀嚼しながら、そう溢してしまう。
「良かった。
けど、こんな所で一人で退屈だよね?
聞いたけど、保育園病気が流行ってて閉まってるって」
「うん。保育園早く行きたいな」
昨日からの、保育園の一時閉園に伴い、母親は仕事を休んでいるけど。
今日は、どうしてもこのパーティーに少しでも顔を出さないといけないから、と、そうやって私を連れて来ている。
明日から、暫くは家で母親と過ごさないといけない。
「おうちに居たくない…」
幼い私でも、そのせいで母親は仕事を休まなければいけなくて、
イライラとしているのを、感じとっていた。
実際、いつもよりもちょっとした事で、怒られていたし。
「早く、保育園に行けるといいね」
「うん」
そう、笑顔で頷いた。
そうやって、うっすらと記憶にある昔の眞山社長は、優しいお兄さんで。
ああ、その頃の眞山社長は、自分の父親と私の母親との不倫を、まだ知らなかったのかな?
そう思うと、奥村さんが言っていたように、この人の根は優しくていい人なのかもしれない。