LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「あ、はい。
じゃあ、その子に案内して貰って、そちらに伺います。
では」
そう言って、電話を切る滝沢さん。
「おはようございます」
私と神山さんは、滝沢さんにそう挨拶する。
「えっと、眞山社長に朝一で来てくれって言われていて。
来てから気付いたけど、iDカードがないとゲートが通れなくて。
今、この会社の顧問じゃないから。
で、今眞山社長に電話したら、受付で来客用のを貰って、入って来て欲しいって」
「では、一度、眞山社長の秘書に確認させて頂いて、よろしいでしょうか?」
そう言うのは、神山さん。
「どうぞ」
顔見知りでも、簡単には通さないのか…。
流石、神山さん。
私なら特に確認せず、来客用のカードを渡していたかもしれない。
「え、はい…、分かりました。
辻山にですか?…はい分かりました」
そう言って、神山さんは内線の電話を置いた。
「確認が取れました。
後、辻山の方に滝沢様を、社長室迄案内させろ、との事なのですが」
え、私が?
来客を目的の部署等に案内する事は、珍しくないけど。
でも、この人、元々この会社の顧問弁護士ならば、その必要があるのだろうか?
「斗希さん、千花じゃなく俺が案内しますよ?」
そう言う晴君は、滝沢さんに対して嬉しそう。
やはり、仲良しなのだろうか?
「篠宮君、大丈夫。
辻山さんに、って、眞山社長からの指示だから」
多分、引っ掛かったのは、それなのかもしれない。
名指しで、案内役を命じられるなんて。
「では、滝沢様。
ご案内します」
そう促す私に。
「お願いします」
そう返す、滝沢さんの目が。
どこか引っ掛かる。