LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
その同期の子ではなく、横の女性が口を開いた。
「本間さんに聞いたけど、辻山さんって高校二年の時に、妊娠して中絶したって噂あるんでしょ?」
手が震えて来て、ギュッと握りしめる。
この女性社員も誰かよく知らないし、
同期で高校の同級生だとかいうその本間さんって子も全く覚えてないのに。
なんだか、そうやって知らない人達に私の事は知られていて、気持ち悪い。
「もし、そんな噂があるとして、
それがなんなのですか?」
「は?何開き直ってんの?
そうやって昔から遊んでたんでしょ?
純情そうなフリして、晴の事騙して!
あんたが晴の事たぶらかしたりするから!」
その女性社員は、テーブルを叩いて立ち上がった。
今にも殴りかかって来るんじゃないかと思う程、睨み付けて来る。
もしかしてだけど、この人、晴君の元彼女だろうか?
私と付き合う前に、同じ会社の人と付き合っていたと、晴君自身が言っていた。
晴君は誠実だから、その人と私の交際期間が被っていたとかはないだろうけど。
ただ、私が現れたせいで、この人と晴君が別れたのか。
食堂で大きな声でこの人が話すから、
会話は周りに筒抜けで。
「…高校の時に子供堕ろしたとか、眞山社長は知ってるのかな…」
近くから、そんな声が聞こえて来る。
また、それも私の悪口の一つとして、
周りに言われるのだろう。
そんな時。