LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
晴君の家へは、電車ではなくタクシーで向かった。
晴君の一人暮らししているワンルームマンションは、
会社から電車で1駅なので、とても近い。
約二週間振りに来た、晴君の部屋。
まだ別れて半月程しか経っていないのか。
その間に色々あって、もっと前の事のように思えた。
「晴君、忘れないうちにこれ返しておく」
そう言って、晴君の部屋のテーブルに、合鍵を置いた。
「捨ててくれて良かったのに」
そう言うから、
「晴君だって、私の荷物を捨ててくれて良かったのに」
そう返してしまう。
「んー、なんか捨てられなくて」
その気持ちは私も一緒だから、分かる。
捨ててしまおう、と思える程、
私達の別れはスッキリとしていない。
「川邊専務から聞いたけど。
晴君、川邊専務に頼んでくれたって。
私が会社で悪く言われていたら、助けてあげて欲しいって」
「あ?聞いちゃった。
でも、あの人には断られたんだけど。
なんで俺が、って怒りながら。
まあ、斗希さんが今回関わってるから、余計に千花に関わりたくないんだろうけど。
なんでか、あの二人喧嘩中だから」
弁護士の滝沢斗希さん。
川邊専務と彼との間に何があったのかは、知らないけど。
ただ、川邊専務もだけど、滝沢さんも、あまり私の事に巻き込みたくはないな、と思う。