LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~

「じゃあ、千花は処女じゃないのに。
なんで俺とは出来ないの?」


「べつに、晴君がダメってわけじゃない」



綾知さんだって、倉持さんだって、
嫌だったけど。


あの人達は、晴君と違って辞めてくれなくて、無理矢理だった。



「じゃあ、眞山社長ともしてないの?」


「…それは」


そう言った後、してないと言えば良かった、と後悔してしまう。




「千花、お前は一体俺の事どれだけ馬鹿にしたら気が済むんだよ?」


そんなつもりじゃない、と思うけど。


晴君を納得させる言葉が出て来ない。



私が晴君から視線を逸らすように俯くと、
強い力で、ソファーへと押し倒された。


初めて見る、晴君の怒っている顔。


私を押さえ付け、見下ろして来る。



この人も、このまま私の体を。


私がこの人を傷付けている側なのに、
なんだか晴君にガッカリとしてしまった。


晴君は、私にキスをして来た。


いつかみたいに、寸前で辞めてくれる事はなくて、晴君の唇が私の唇に重なった。


その唇はすぐに離れて、今、私を見下ろしている晴君の目は、悲し気で。



「晴君、何型?」


「えっ?」


「綾知さん…眞山社長はO型なの。
晴君がもしO型ならば…いいよ」


どうせなら、あの倉持さんの子供じゃなくて、
晴君の子供の方がいい。


私を見下ろす晴君は、ぼんやりとだけどその訊かれた意味が分かったのか。

驚いたように、私を見ている。


「千花、頭おかしいんじゃないの?」


その言葉に、気付いた。


私も綾知さんに近付き過ぎて、おかしくなったのかもしれない。


こんな事、普通の人の考える事じゃない。


「ごめん。
本当はこんな事するつもりなかった。
また友達みたいに、千花と話せるようになればって。
でも、なんか無理…。
千花、もう帰って」


晴君は私から離れると、
こちらに背を向け顔を手で覆っている。


「うん。
私の荷物、やっぱり捨てといて。
あっても邪魔になるものばかりだから」


私は体を起こして、晴君の部屋から出た。
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