LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「女って嫌な性格してるよな。
エレベーター乗り場とかで、俺が近くに居るの知ってて、わざとそうやって聞こえるように千花の事をヒソヒソと話して。
まあ、前々から美帆子からも言われてたんだけど。
社内での千花の居心地が悪そうだから、なんとかしてあげろって」
奥村さんもそうだけど、
この人、知っていたんだ。
私が会社でそうやって、誹謗中傷されている事を。
知ってても、知らんふりで。
「過去に中絶って本当?
もしそれが本当なら、それが原因で妊娠しにくいって事はない?」
この人が心配するのは、やはりそればかり。
そうか。
たまに見せてくれるこの人の優しさも、
私に子供を産ますから、その見返りみたいなものなのかもしれない。
私はベッドから体を起こした。
「綾知さんのせいじゃない?
会社で私がそうやってある事ない事言われて!
私は晴君と別れたくなかったし、
あなたと結婚なんてしたくなかったのに!
なんで、私が会社でみんなから悪口言われないといけないのよ!!」
ずっと自分の中で溜め込んでいたものを吐き出すように、この人にぶつけた。
だけど、そんな私を見て、ほんの少し口角を上げるだけ。
それは、馬鹿にしたように、私を嘲笑っている。