LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「なら、本当の事を言えばいいだろ?
母親の不倫が原因で、俺に脅されて結婚させられたんだって?
べつに、篠宮君をクビにすると脅した事も言えばいい。
それを誰にも言うなとは、俺は言ってない」
「そんなの、言えるわけない…」
晴君のクビの事はともかく。
母親とこの人の父親との不倫をネタに脅されている事は、誰にも知られたくない事なのに。
言えるわけない。
「なぁ、もう一回訊くけど、
今日は本当に友達だったのか?」
「晴君と、会ってた」
そんなに知りたいなら、教えてあげる。
その瞬間、両肩を掴まれ、ベッドへと押し倒された。
私を見下ろす綾知さんの顔は、怒っているように見える。
怖い、と体が震える。
「一回目は、許してやるけど。
それなりに、お仕置きはしないと」
そう言って、私のパジャマのボタンを一つずつ外して行く。
きっと、この人はこのまま私を抱くのだろう。
それが、一番私を傷付けるのに手っ取り早いと分かっているから。
「触らないでよ」
私のその言葉に、その手が止まった。
「私が産むのは、あなたの子供じゃないんでしょ?
だったら、あなたは私に触らないでよ!」
そう、睨み付けた。
それだけじゃ気持ちが収まらなくて、
涙が溢れて来る。
「あんたなんか…だいっ嫌い!
この世の中で、一番嫌い!」
この人が、大嫌いで。
憎くて仕方ないのに。
この人に、優しさを求めてしまう。
見返りなく、優しくされたい。
「―――分かったよ」
綾知さんは、そっと私から体を離すと、
私に背を向けるようにベッドへと寝転ぶ。
「おやすみ」
その言葉に、
「おやすみなさい…」
そう、返した。