LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~



「今日、生理が来たの」


綾知さんにそれを告げたのは、彼がベッドに入ってから。


今夜も彼は、私の隣で寝転んでいる。


「そう。
やはり一度では、上手く行かないか」

その言葉で、まだこんな事を続けるのだな、と絶望に似たような気持ちになる。


「ねぇ、綾知さんの子供じゃダメなの?」


その私の言葉に、こちらに向けられた目は、冷たくて。


「千花が、俺に触るな、って言っただろ?」


そう、鼻で笑われた。


「そうだけど…」


この人を強く拒んでから、綾知さんは私に一切触れなくなった。


私もそれを望んでいて、そうなったのだけど。


だけど、子供に関しては、この人の子供である方がいいに決まっている。

だって、他の人の子供なのに、この人の子供として育てるなんて。


やはり、子供が可哀想。



「俺は、自分の本当の子供はいらない。
もう二度と、言わせるな」


その声が、怒っているのが分かった。

今までで、一番。


「…ごめんなさい」


「今週も俺、土曜日仕事だから。
千花はまた気晴らしに、何処か出掛けて来たら。
千花の給料は小遣いとして、全部好きに使えばいいから」


そう言われ、土曜日は何をしようか、と思う。


先週の土曜日は、ネイルとヘアカットをした。


帰宅して、お義母さんにそれを咎められるのを覚悟していたけど、
私が帰宅したら、もう綾知さんも帰って来ていたので、何も言われなかった。


「綾知さん。土曜日、また早く帰って来てね。
お願い」


そうやって、私はこの人にすがってしまう。


今の辛い状況は、全てこの人のせいなのに。

私が頼れるのは、この人しかいない。


「ああ。なるべく早く帰るようにする」


綾知さんは、笑っていて。


先程、怒っていたのが嘘みたい。


こんな風に、綾知さんと私の結婚生活は、
互いにバランスを取りながら、続いていて。


ちょっとした事で崩れてしまいそうな程、私達の関係は、脆い。


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