LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~



「お世辞抜きに、奥様は指が綺麗なので、
こう言った派手なデザインでもとてもお似合いになります!」


有名なブランドのショップで、
綾知さんと二人結婚指輪を見る。


その高級な指輪のショーケースを前にし、
やはり気持ちが弾んでしまう。


この後の事を考えると憂鬱だし、
この結婚自体、最悪なのに。


物には罪はない、とは少し違うけど。


単純に、指輪を選ぶ事は楽しいし、
買って貰える事は嬉しい。


時々、もう割り切って、この人のお金で思いっきり贅沢してやろうかな、と思う。


この結婚で幸せになれない分、お金でそれを埋める。


「こっちも着けてみたいです」


ショーケースの違う指輪を、指さす。


「畏まりました。こちらですね」


「綾知さん、もっとじっくり選んでいい?」


「いいよ。
千花が納得行くもので」


「旦那様も、本当にお優しいですよね」


そう笑う店員さんは、そんな私を羨んでいるのが分かる。


あなたはこの人の本性を知らないから、と思うけど。


こうやって優しい部分は、綾知さんの偽りない姿だったりする事も、約1ヶ月一緒に暮らしていて、分かった。

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