LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
お昼ご飯は家で食べてから出掛けているので、
指輪を選んだ後、何処かで甘い物でも食べよう、と綾知さんが提案してくれた。


今は、17時前で、ほんの少しお腹が空いた。


指輪を選ぶのに、3時間近く掛かってしまった。


なかなか決められない私に、綾知さんは急かす事なく、
私が納得行く迄、選ばしてくれた。



「早いけど、普通にもう夜も済ませる?
俺、少し腹減ったから」


何処の店に入ろうか、と二人で歩いていると、綾知さんは腕時計を見ている。


「うん。そうだね」


今日の夜は外で食事をするかもしれないと、
お義母さんには伝えて出て来ている。


今日は朝からお義母さんはおでんを仕込んでいたが、お義父さんも帰って来ているし、私達が食べなくても問題ないだろう。


夕食として選んだお店は、お洒落なイタリアンのお店。


綾知さんが、ピザが食べたい、と言って決めた。


そのお店の店内は広くて、夕飯にはまだ時間が早いのに人が沢山入っているから、わりと人気のお店なのかもしれない。


パスタも充実してるけど、ピザの大きなサイズとサラダを頼んだ。


そして、今日は車じゃなくタクシーで来ているので、綾知さんはグラスワインを頼んでいた。


私はお酒はダメだと言われたけど、元々お酒はあまり飲まない方なので問題ない。


そういえば、もう免停は解けたのか、
最近は、もうこの人と奥村さんは別々に出社して来る。


「この後もあるし、あまり食べ過ぎるのもあれだから」


綾知さんが注文を告げ、その店員さんが去った後、そうポツリと言われた言葉に、
この後の事を思い、胃が痛くなる。


運ばれて来たマルゲリータのピザはとても美味しかったのだけど。


あまり、食が進まなかった。


「二人でピザ一枚じゃあ少ないかと思ったけど。
ちょうど良かったか」


私があまり食べないので、その分綾知さんが食べた。


この人は、私の食欲不振の理由も分かっているから、
それに触れて、食べない私を気遣わない。

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