ほんとに?
どうして,そんな不安そうな声を出すの。

本当に,分からなくなるよ。



「どうして,隣に座ってくれないの……?」

「隣? 俺はずっと隣にいたよ」



類くんは,私を落ち着かせるような声を出す。

でも,違う。

そんなの,違う。

あんなのは隣なんて言わない。

前は,ああじゃなかった。



「どうしたの,百音。なにか……」



怖くても伝えた本音を,大したことじゃないみたいに流さないで。

私の質問とは別のところに理由があるみたいに,聞いてこないでよ。



「ふっうぅぅ…」

「百音,言ってくれなきゃ…」



そんな困ったみたいな声,出さないで。

苦しいよ。

悲しくて,自信がないよ。

類くんが,ほんとの意味ですきって言ってくれなくちゃ。

私は彼女としていられないんだよ。



「類くん……!」

「ん?」
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