ほんとに?
「類くん……ふぅっ…はっ私と,別れて…」

「…は?」



怒ったのか,焦ったのか,戸惑ったのか。

そんな判別できない,低い声。

私だって驚いた。

こんなこと,言うつもりじゃなかったし,死んでも言いたくないと思ってたから。

既に,後悔できっと私の顔は青白い。



「なんで……」



茫然とした声。

こっちがなんで,だよ,類くん。

離さないとでも言う様に,類くんは苦しいくらいに私を抱き締める。



「絶対,やだ」



まるで子供の駄々だと思った。

嫌だって言うなら,思ってくれるなら。




「なんで,キス……変えたの。本当はしたくないから? ソファーで座る時も,前はあんな他人みたいな距離じゃなかった! 前は泣かなくてももっと強くぎゅってしてくれた! ……なんで,私のこと嫌になったの」



どうして私は類くんの特別でいられなかったの?
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