ほんとに?
「だって,皆やってることなんでしょ? 私,恥ずかしいだけで,怖くないよ」

「ん,ん……もう,分かったから,百音」



背中に回った腕が離れていく。

俯いて必死言葉を紡いでいた私は,ゆっくりと顔をあげる。

耳が,赤い。

顔を覆っている類くんの,隠れていない耳が赤い。



「……百音」



類くんの,低くて甘い声。

喉が少しなるところが,格好いい。



「さっきはごめん。百音が良いって言っても,やっぱりさっきのは良くないと思う。百音が嫌じゃないなら,俺は段階をつける。今日はもう,しない」



類くんは,変なところでまっすぐ。

でも,それは私を大事にしてくれてるからだと思う。



「うん。分かった」

「でも」
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