窓の中のラブストーリー
海を眺めるこの病院の三階で、もう一世紀ほど経ったでしょうか。

私は、ベッドのそばの白い壁にはめ込まれた、小さな窓です。

小さな出窓の私は、開け放たれることもありません。

ついでに申しますと、年の瀬でさえ、一度も磨いてもらったこともありませんでした。

今から思えば、この積もり積もった埃の一つ一つが、私の記憶であるかのように、様々な想いが刻まれているのでございます。
< 2 / 18 >

この作品をシェア

pagetop