窓の中のラブストーリー
第3章. 老人の想い
その老人は、70歳を迎えたばかりでした。
若い頃より少々精神を病んでおられ、そういった病院の日々の末に、大きな病につかまり、私の前に現れたのでございます。
病が見つかった時にはもう手遅れで、この年は越せないと言われておりました。
季節は秋から冬へ向かおうかという頃、穏やかな陽射しが差し込む午後でありました。
最初に老人がした行動に、私は一瞬たじろいだのを覚えております。
老人は、ベッドで横になったまま私の方を見つめました。
丁度晴れた空を、二羽のつがいの渡り鳥が飛んでおりました。
最初は、それを眺めているのかと思っておりました。
『こんにちわ。良いお日和ですなぁ。今日から厄介になります。』
私は、まさか私に語り掛けてくれたのかと、驚きと同時に気持ちが踊るのを感じました。
しかしそのようなことがあるはずもなく、すぐに、それは私に映った自分の顔に話しているのだと分かりました。
こうして老人との1ケ月半程の日々が始まったのでございます。
若い頃より少々精神を病んでおられ、そういった病院の日々の末に、大きな病につかまり、私の前に現れたのでございます。
病が見つかった時にはもう手遅れで、この年は越せないと言われておりました。
季節は秋から冬へ向かおうかという頃、穏やかな陽射しが差し込む午後でありました。
最初に老人がした行動に、私は一瞬たじろいだのを覚えております。
老人は、ベッドで横になったまま私の方を見つめました。
丁度晴れた空を、二羽のつがいの渡り鳥が飛んでおりました。
最初は、それを眺めているのかと思っておりました。
『こんにちわ。良いお日和ですなぁ。今日から厄介になります。』
私は、まさか私に語り掛けてくれたのかと、驚きと同時に気持ちが踊るのを感じました。
しかしそのようなことがあるはずもなく、すぐに、それは私に映った自分の顔に話しているのだと分かりました。
こうして老人との1ケ月半程の日々が始まったのでございます。