敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「まあ、漫画で読んだやつだけどね。妙に納得しちゃうよね」

杏はすぐにからっと笑った。

「一般論としてはたしかにね」

「てかさ、私の話も聞いてくれる?」

声を弾ませた杏に、笑顔を向ける。

「うん、もちろん。どうしたの?」

「彼氏ができました!」

いい話なのかなと予測していたけれど、まさかの内容だった。

「えっ、いつの間に」

「ちえりとも行った、あのダイニングバーで知り合ったの」

「じゃあパイロット?」

「ううん。外交官。あのバーのハイスぺ率高すぎだよね」

あんなにパイロットとお近づきになりたいと言っていたのに、杏は外交官の彼氏ができたのが心の底からうれしそうだった。

「よかったね、杏」

「ありがとう。ってことで、彼氏の浮気を心配してるのは私のほうなんだけどっていうオチ」

どうやらそれで私まで煽ったらしかった。

ものすごい力で、がしっと肩を掴まれる。

「いたっ」

「お互い、目光らせとこ」

「う、うん」

杏の顔が般若のように怖くて、私は彼女の彼氏がどうか浮気をしませんようにと心の中で祈った。


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