敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「嫌……!」

無意識のうちに悲鳴を上げてしまった。

「ちえり?」

大地さんは驚いたように目を丸くている。

彼に肩を押し返された新萩さんは、大股で私に歩み寄ってきた。

「奥さま、ひどい顔」

嘲りを含んだ声を、耳に吹き込まれる。

「え……?」

「ああ、ひどいというのは造作ではなくて、顔つきですよ?」

私は嫉妬心で醜い顔になっているらしい。

「どうして大地さんに……」

「いいでしょ? あれくらい。横取りしたのはあなたのほうなんだから。本来なら今頃、大地さんもJPAも全部私のものになっていたんです」

硬直する私にそれだけ告げると、彼女は大地さんのほうを振り返る。

「それじゃあ大地さん、かわいらしい奥さまがお迎えにいらしたようなので、また会社で会いましょうね」

颯爽と去っていく新萩さんを呆然と眺めた。

すぐに大地さんが私のもとにやって来る。

「新萩になにを言われた?」

彼は顔をしかめながら私に問いかけた。

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