敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「……横取りしたのは私のほうだと」

それはどういう意味なのだろうか。

彼と彼女はいったいどういう関係なのだろうか。

気の置けない友人ではなかったのだろうか。

地面がぐにゃっと曲がったような感覚になり、足もとが覚束なくなる。

「ああ……前に話した俺の見合い相手が新萩だ」

「新萩さんが大地さんのお見合い相手……? どうしてもっと早く教えてくれなかったんですか?」

なにも聞いていなかったから、北海道行きの飛行機の中でも、彼女の前で平然と大地さんと手をつないでいた。彼女にしてみれば、私が見せつけているように感じたのかもしれない。

私が配慮もできない嫌な女みたいだ。彼女が恨み言を口にしたくなる気持ちがわかる。

「見合いする前におまえと結婚したし、新萩はなにも関係ないだろ?」

大地さんは女心をわかっていなさすぎる。

新萩さんのことも、私のことも。

「それでも飛行機で顔を合わせたときに、教えておいてほしかったです」

そうすれば、新萩さんは大地さんの腕に絡みついたり、抱きついたりしなかったかもしれない。

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