敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
彼女の気持ち次第では、今後もっと激しい挑発をしてくる可能性があるのだと思うとぞっとした。

私が見ていた限り、大地さんは彼女のアプローチを拒んでいたけれど、そういう問題じゃない。

彼がほんのちょっとでもほかの女の人に触られるのは嫌だ。

「大地さんはなにも話してくれませんよね」

「なにもって?」

「今回の件だけじゃなくて、パイロットだというのは結婚してから明かされたし、お義父さまがJPAの社長だというのはお義母さまから聞かされました。私は大地さんをちゃんと知りたいのに」

どんなことでもいいから隠さずに教えてほしい。

ハワイの教会で彼を独り占めできたのは、幻想だったの?

激情が込み上げ、まくし立ててしまう。

「大地さんは私を信じてくれていないのですか?」

「そういうわけじゃない」

彼はすぐさま否定した。でも弁解はしてくれなかった。

口論にもならない。冷戦のような状態が一番きつい。

気まずい空気のまま、その夜はマンションに帰った。

こんなに切ないサプライズになるなんて思ってもみなかった。


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