敏腕パイロットのドＳな溺愛～離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない～

「ねえねえちえり、紹介してよ。大地先輩って、あの？」

向かいの席から杏が身を乗り出した。

「うん。こちらが噂の大地先輩だよ。大地先輩、彼女は職場の同期の杏です」

「はじめまして！　いつも大地さんの話を楽しく聞かせてもらっています」

嘘だ、今もうんざりしていたのに。

「はじめまして」

大地先輩が挨拶を返すと、杏は頬を紅潮させる。

「これはちえりがほかの男性にいけないのも全力でうなずけちゃうな」

面食いな杏の目は、今日一番に輝いていた。

私は大地先輩がすぐそばにいるのが夢みたいで、ただただ食い入るように見つめてしまう。

生身の大地先輩の香りがする。なんていいにおいなのだろう。

「大地さんはなんのお仕事をしているんですか？」

無言の私の代わりに、杏が彼に質問をした。

「ああ……長距離運転手？」

自分のことなのに、なぜか語尾が疑問形だ。

長距離運転手というのは、トラックの運転手だろうか。